シンデレラとは
なぜ私たちは
シンデレラを作ったのでしょうか。数学を勉強したり、数学の図を描くプログラムはほかにもたくさんあるでしょうが、数ある数学のソフトウェアの中で、
シンデレラ が優れているところを説明しましょう。
このソフトウェアの主な特徴を説明します。
シンデレラ は
- マウスで操作できるインタラクティブな幾何学のソフトウェアです。 ほんの数回マウスをクリックするだけで、簡単なものから複雑なものまでさまざまな幾何学の作図をすることができます。自分でプログラムを組んだりキーボードを操作する必要はありません。こうして描かれた図の作図手順はプログラムに記憶されており、最初に任意に置いた点をマウスドラッグで動かすと、図全体が作図手順に従って動きます。 この機能によって、ダイナミックな描画を通して幾何学を理解することができます。
- 自動的に定理を確認する機能が組み込まれています。 作図をしているときに、シンデレラはそこで生じた(明らかではない数学的な)事柄・結果を報告してくれます。
- 異なる視点からの操作や作図を,同時に行うことができます。 ユークリッド平面,球面,ポアンカレ双曲面の上でひとつの図形を見たり操作したりすることができます。
- 非ユークリッド幾何学をサポートしています。 シンデレラ は、ユークリッド幾何、双曲幾何、楕円幾何を簡単に切り替えることができます。ですから、非ユークリッド幾何であっても正しく操作することが可能です。
- 幾何的軌跡を描くのにとても便利です。 シンデレラ だけの数学的手法を用いて、軌跡を部分的に描くのではなく完全に描くことを保証します。
- インターネット対応です。 プログラムはすべてJavaで書かれています。 ソフトの中で描いた図はたちどころにインタラクティブなウェブページへと変換することができます。 学生向けの練習問題やアニメーションも簡単に作ることができます。
- 高品位の印刷ができます。 画面上に描いた図はPDFに変換できます。 こうして出力されたデータは画面をキャプチャーしたもの(ビットマップデータ)よりずっと美しく、プリンタの解像度を十分に生かして印刷できます。
- 数学の理論に基づいています。 すべての機能は数学に基づいて作られています。 19世紀の偉大な幾何学者の理論だけでなく、多くの新しい数学手法が使われており、 シンデレラ は幾何学の道具として高い信頼性を持っています。
ここまでは、最初のリリースのハンドブックで挙げたものです。これに加え、シンデレラ2は、幾何学プログラムというだけにはとどまらない新しい特徴を備えています。詳細は
Cinderella.2で新しくなったことを参照してください。ここでは、新しい面の概要を簡単に述べます。
- 幾何学の変換についての強力なモードがあります。 簡単な平行移動や対称移動から、射影変換やメビウス変換まで、いくつかの変換を扱えます。これらの変換は、作図を簡単にするのに役立ちます。
- フラクタルの作図ができます 。 いくつかの変換を組み合わせて、「反復関数系」と呼ばれる操作が可能になります。これにより、いくつかの変換に関して、自己相似形の図形ができます。 これには魅力的は幾何学的特性があり、よく知られたフラクタルはこれに含まれます。
- プログラミングができます。 シンデレラ2の主要な新機能の一つが、高水準プログラミング言語です。 CindyScript はインタラクティブな描画機能とシームレスに働くように設計されています。それは、高水準は関数型プログラミング言語です。わすか数行のプログラムコードを付け加えるだけで図形の動きをコントロールすることができるのです。
- シミュレーション機能を持っています。 シンデレラ2には、物理シミュレーションをおこなう特別な機構 CindyLab があります。 CindyLab は、質量を持つ点=粒子とそれらに働く力のシステムに基づいています。簡単に図を描いて、シミュレーションをおこなうことができます。 特に、物理シミュレーションと幾何学またはプログラミングとの組み合わせにより、驚くようなインタラクティブ・シミュレーションの可能性が開けます。
- 音声出力のサポート: Cinderella.2 音声出力のための高度な機能を持っています。コンピュータに内蔵されている MIDI インターフェースを用いて音楽を演奏できます。これにより、数学的手法で音を鳴らすことができます。一方で、基本的なレベルでの音の実験もできます。
- TeXのサポート: Cinderella.2 はTexに基づいた記法による数式の表現ができます。複雑な数式をいわゆる数学の式として描画面に表示することができます。
- 画像の変形: Cinderella.2.6 から、画像処理を CindyScriptで扱えるようになりました。画像はいろいろは方法で変換・変形ができます。
- ペンタブレットのサポート シンデレラ2の手書き認識インターフェースにより、電子黒板やタブレットPCなどのペン入力装置が使えます。手書きの図形は自動的に認識されインタラクティブな図形に変換されます。
このように、シンデレラ2は、3つの主要な部分、幾何学、プログラム言語、物理シミュレーション機構からなっています。以下の節で、これらの3つの面をそれぞれ取り上げていきます。